会社・法人登記専門の司法書士事務所です。

ブログ「耕不尽(たがやせどもつきず)」

2025年06月06日 09:16

商号

 前回、予告しましたとおり、さっそく、定款の逐条解説の第1回を書いてみようと思います。通常は、定款の第1条に規定される「商号」です。(商号)第1条 当会社は〇〇合同会社と称する。  会社の商号は、会社の名称であり(会社法6条1項))、定款で定めなければなりません(会社法576条1項2号)。会社が合同会社である場合には、その商号中に合同会社の文字を用いなければならず、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないとされています(会社法6条2項及び3項)。つまり、商号の中の「合同会社」という文字は、商号の一部であって、合同会社という種類を示す単なる肩書ではないということでもあり
2025年05月31日 15:29

設立状況

 法務省の登記統計では、昨年の後半、少し設立登記申請件数が減少傾向なのかな、という感じでしたので、少し気が早いのですが、今年の状況を見てみたところ、現時点で3月までの月別の設立登記申請件数が公表されていました。 その結果を見てみると、今年1月から3月までの設立登記申請件数の累計は、合同会社が11,065件、株式会社が24,572件でした。昨年の同時期の累計と比べると、合同会社は約8%増、株式会社はほぼ同数という結果でした。 どうやら、現時点の結果をみると、個人的な予想と異なり、設立登記申請件数は減少傾向というわけではなかったようです。少なくとも、合同会社については昨年よりも増加しているという状
2025年05月22日 14:25

商号変更の請求

 会社法613条に、「持分会社がその商号中に退社した社員の氏若しくは氏名又は名称を用いているときは、当該退社した社員は、当該持分会社に対し、その氏若しくは氏名又は名称の使用をやめることを請求することができる」という規定があります。 個人的には、どうして株式会社にはこうした規定はないのに、持分会社にはあるのだろうと疑問に思っています。 この条文の趣旨は、「会社の商号中に退社した社員の氏等が使用されている場合に商号を変更しないで放任しておくときは、退社した社員には不作為による自称行為があるとして、自称社員の責任(略)を負わされるおそれがあるため」や、「退社した社員が自己の氏等を使用して同様の事業を
2025年05月16日 15:00

原本還付と委任状

 私たち司法書士が商業登記申請を受任した場合、商業登記の申請書には代理権限を証する書面(以下、「委任状」といいます。)を添付する必要があります。根拠条文は商業登記法18条です。 当然ながら、委任状には、どのような内容を委任するのかが記載されている必要があります。たとえば、会社の目的を変更したような場合は、「令和〇年〇月〇日付株主総会決議に基づく目的変更登記申請手続に関する一切の件」といった具合に記載します。 そして、添付書面である株主総会議事録は原本を会社で保管する必要がありますから、還付手続をすることになります。根拠条文は商業登記規則49条1項です。 ところで、委任状には目的変更登記申請手続
2025年05月11日 14:34

兼任禁止規定

 株式会社の監査役の地位にある者が、同社の株主総会において取締役に選任された場合はどのような状態になるのでしょうか。というのは、会社法335条2項により、監査役は、その会社の取締役を兼ねることができない(以下、「兼任禁止規定」という。)と規定されていることから問題となります。 もし、この兼任禁止規定が監査役の欠格事由と定めたものだとすれば、この監査役選任に関する株主総会決議は法令の規定に違反し、無効ということになるでしょう。 これに関連して、商業登記ハンドブック第5版457頁では、「監査役が会社法335条2項の兼任禁止規定に違反し、同項の地位に就任することを承諾したときは、従前の監査役の地位を
2025年04月30日 13:17

法制審議会会社法制部会

 法務省のウェブサイトをみたところ、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会で会社法の見直し関係が検討されているようです。その第1回の会議が4月23日に開催されたようで、資料等が公開されていました。 内容はそちらをご覧いただきたいのですが、個人的に気になったのは、合同会社についての改正も議題となっていたことです。 その内容について、大雑把に記載するのは難しいのですが、検討してみましょう。 まず、合同会社が無対価で組織再編行為をした場合、資本剰余金が増加する場合がありますが、無対価であるため、定款の出資の記載は変更がありません。 たとえば、社員が一人のみの会社で、出資の価額が100、資本剰
2025年04月18日 14:11

代表取締役等住所非表示措置の申出と登記の完了

 前回に続き、代表取締役等住所非表示措置の話題です。 それほど大きな論点ではなく、個人的に気になった点を備忘録として記載しておきます。  代表取締役の就任の登記申請と代表取締役等住所非表示措置の申出をオンラインで行った際のことです。依頼者様から、登記が完了したら、登記事項証明書を速やかに取得してほしいという依頼があった件でした。  ご承知のとおり、オンライン申請は、登記が完了すると、メールで通知が来ますし、オンラインシステムで確認することができます。 申請の数日後、登記が完了したとのメール通知があったので、前述の登記申請の完了であることをオンラインシステムで確認しましたうえで、早速、オンライン
2025年04月10日 10:16

代表取締役等住所非表示措置と実質的支配者リスト

 今日は代表取締役等住所非表示措置に関する話題です。私も何回か、経験しましたが、そこで気になった点を記載してみたいと思います。 この非表示措置の申出をする場合には、実質的支配者に関する添付書面が必要であり、法務局に実質的支配者リストの保管の申出をしている場合は、その旨を申出書に記載すれば、添付を要しないという扱いになっています。 この扱いを受けた場合、登記官は、実質的支配者リストの写しを作成し、申出と併せて行った申請の申請書等と併せて、申請書類つづり込み帳につづり込まれることになります。 そして、それらは、利害関係のある第三者の閲覧の対象となります。 ところで、実質的支配者リストの申出をした場
2025年04月04日 10:01

学校法人の代表業務執行理事の登記

 3月9日の本ブログで、学校法人には、理事長のほか、代表業務執行理事も代表権を有する者として、その氏名、住所及び資格を登記することになると記載いたしました。 先日、令和7年3月19日法務省民商第44号「私立学校法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)」が発出され、この点についての取扱いも記載されていました。 代表業務執行理事ですが、登記する資格は、「理事」となっていました。この先例を見るまでは、個人的には、法律に規定されている「代表業務執行理事」という資格を登記するのだろうかと思っていたので、この点を確認できてよかったと思っております。  なお、代表業務執行理事
2025年03月24日 11:33

商業登記倶楽部本部研修会

 前回に引き続き宣伝となり恐縮ですが、今回は研修会のご案内です。 「月報司法書士」の3月号がお手元に届いた方はお気づきになられたかもしれませんが、4月19日(土)に、日司連ホールにおきまして、商業登記倶楽部本部研修会があり、そこに登壇させていただきます。私のお話するテーマは「持分会社の持分相続―合同会社を中心とした検討―」です。  内容としては、一昨年、日本登記法学会で発表させていただいた内容をベースとし、それを、司法書士実務の目線で実務的に発展させたものとなります。 持分会社の一類型である合同会社の持分相続について、従来の持分会社の登記実務と異なる扱いも認められるかどうかという点の考え方につ

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