会社・法人登記専門の司法書士事務所です。

記事のアーカイブ

2025年08月06日 09:49

本店の所在地

 会社の事務所は、事業活動等の実態に即して複数設ける場合もありますが、事務所のうち、事業活動の中心となる事務所を本店といい、会社の住所は、その本店の所在地にあるものとされています(会社法4条)。また、民事訴訟における普通裁判籍は会社の本店により定めるとされています(民事訴訟法4条4項)。 会社の本店の所在地は定款の絶対的記載事項です(会社法576条1項3号)。定款に記載すべき本店の所在地は、独立の最小行政区画をもって表示すれば足りるとされています(大正13年12月17日第1194号回答)。独立の最小行政区画とは、市町村(東京都の特別区を含み、政令指定都市(地方自治法252条の19第1項)にあっ
2025年07月29日 13:02

職務執行者の住所非表示措置

 今回は、定款の逐条解説をお休みして、昨年10月から制度が開始されている代表取締役等住所非表示措置のお話です。 もう経験された司法書士の先生方も多いだろうと想像していたのですが、法務省のウェブサイトでは、10月~3月までの半年の利用件数が6539件となっていました。役員改選等の繁忙期である5、6月には大分増えただろうとは思いますが、その件数からすると、まだ、経験されていらっしゃらない先生方も少なくないかもしれません。 実は今日は、その延長のお話です。 今年4月から、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の開催が進んでいるようです。実際に改正があるとしても、大分先になるのだろうとは思いま
2025年07月11日 09:10

目的(その5)

 今回もテーマは「目的」です。「目的」の最終回となります。4.「目的」の営利性 個人的には、この目的の営利性がとても難しく感じます。合同会社は営利社団法人です。そのため、例えば「政治献金」のように、利益を取得する可能性の全くない事業は、会社の目的として掲げることはできないとされています(注)。 ところで、会社の事業目的は、その範囲で会社に権利能力を付与することだと考えると、会社には目的に掲げることができないとされている「政治献金」のような非営利の活動はできないということになりそうです。しかし、ご承知のとおり、会社にも政治活動の自由があり、法律に反しない限り「政治献金」をすることも認められていま
2025年07月05日 14:15

目的(その4)

 今回も引き続き、テーマは「目的」です。3.「目的」の適法性 会社は、強行法規又は公序良俗に違反する事業を目的とすることはできません。そもそも、強行法規又は公序良俗に反する行為は無効ですから、そうした行為を行う事業を目的として掲げることができないのは当然のことといえます。 適法性を欠く目的の例や論点の主なものとして、次のようなものがあげられます。①一定の資格を有する者でなければ営むことができない業務 弁護士や司法書士等一定の資格者に限って認められている業務を会社の目的とすることはできません。これに対して、たとえば、不動産鑑定士という資格がありますが、不動産鑑定を会社の事業目的とすることは可能だ
2025年06月28日 14:31

目的(その3)

 前回、前々回に引き続き、テーマは「目的」です。2.「目的」の明確性 目的の明確性とは、定款に記載され、登記された目的の意義が明瞭であって、登記事項証明書等を見た一般人が、その目的の語句の意義を理解することができることを言います。つまり、明確性があるかどうかは、社会通念に従って判断されることになります。 目的の中に特殊な語句が含まれる場合、たとえば、それが専門用語で、専門家にとってはその意味が明瞭ではあっても、一般人には理解できないもの、あるいは外来語で通常の国語辞典や市販されている用語辞典に掲載されていないようなもの、あるいは、インターネット等で検索しても容易にはその意味が判明しないものは明
2025年06月22日 15:02

目的(その2)

 前回に引き続き、テーマは「目的」です。1.「目的」の具体性 かつては、目的は、その事業内容を具体的に記載しなければならないとされていました。法人の目的が登記事項とされているのは、これにより法人の権利能力の範囲を明確ならしめるためだからというのが理由です(注1)。 しかし、平成18年の会社法施行から、この解釈が変更され、会社の目的の具体性については登記官の審査の対象ではなくなりました(注2)。①会社法の制定に伴い類似商号規制が廃止された、②会社の権利能力の範囲を決する「目的の範囲内の行為」という基準は、定款に明示された目的に限られず、その目的を達成する上で直接又は関節に必要な行為であればすべて
2025年06月12日 15:20

目的(その1)

 前回の「商号」に続いて、今回は「目的」です。(商号)第1条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。    1.〇〇〇〇    2.〇〇〇〇    3.その他前各号に附帯又は関連する一切の事業        目的とは、会社が行うべき事業といいます(注)。 非営利法人の場合は、当該法人の目的とその目的を達成するための事業を記載することが多いでしょう。目的と事業を別の条文にすることも少なくありません。 それに対し、会社は、営利(事業活動によって得た利益を構成員に分配すること)を目的とした社団であることから、上記のように、営利の目的を達成する事業のみを記載することが多いと思われます。しかし、会社
2025年06月06日 09:16

商号

 前回、予告しましたとおり、さっそく、定款の逐条解説の第1回を書いてみようと思います。通常は、定款の第1条に規定される「商号」です。(商号)第1条 当会社は〇〇合同会社と称する。  会社の商号は、会社の名称であり(会社法6条1項))、定款で定めなければなりません(会社法576条1項2号)。会社が合同会社である場合には、その商号中に合同会社の文字を用いなければならず、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないとされています(会社法6条2項及び3項)。つまり、商号の中の「合同会社」という文字は、商号の一部であって、合同会社という種類を示す単なる肩書ではないということでもあり
2025年05月31日 15:29

設立状況

 法務省の登記統計では、昨年の後半、少し設立登記申請件数が減少傾向なのかな、という感じでしたので、少し気が早いのですが、今年の状況を見てみたところ、現時点で3月までの月別の設立登記申請件数が公表されていました。 その結果を見てみると、今年1月から3月までの設立登記申請件数の累計は、合同会社が11,065件、株式会社が24,572件でした。昨年の同時期の累計と比べると、合同会社は約8%増、株式会社はほぼ同数という結果でした。 どうやら、現時点の結果をみると、個人的な予想と異なり、設立登記申請件数は減少傾向というわけではなかったようです。少なくとも、合同会社については昨年よりも増加しているという状
2025年05月22日 14:25

商号変更の請求

 会社法613条に、「持分会社がその商号中に退社した社員の氏若しくは氏名又は名称を用いているときは、当該退社した社員は、当該持分会社に対し、その氏若しくは氏名又は名称の使用をやめることを請求することができる」という規定があります。 個人的には、どうして株式会社にはこうした規定はないのに、持分会社にはあるのだろうと疑問に思っています。 この条文の趣旨は、「会社の商号中に退社した社員の氏等が使用されている場合に商号を変更しないで放任しておくときは、退社した社員には不作為による自称行為があるとして、自称社員の責任(略)を負わされるおそれがあるため」や、「退社した社員が自己の氏等を使用して同様の事業を

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