
前回の本欄では、法人によって、「事業年度」という用語を使用しているものもあるし、「会計年度」という用語を使用しているものもあると記述しました。
なお、いろいろな資料をみると、「会計年度」という用語は、国・地方公共団体の計算期間だという解説がなされています。ちなみに、国・地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとされています(財政法11条、地方自治法208条1項)。
では、なぜ、民間の法人制度で、法律上、「会計年度」という用語を使用しているのでしょうか。
これに関して、小國隆輔『実務 私立学校法』(日本加除出版株式会社)376頁に、次のような記述がありました。
「学校法人の会計年度を、国(財政法11条)及び地方公共団体(地方自治法208条1項)の会計年度と同一とすることで、私学助成の事務や調査統計などに便宜がある」
たとえば、学校法人の所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができるとされています(私立学校法6条)。また、学校法人が助成金を受けることもあるでしょう。
公益的な目的を有する団体といえ、計算の期間を所管庁である国や地方公共団体と合わせておくと都合が良いのでしょう。
おそらく、「会計年度」という用語を使用している他の法人も同様の事情があるのではないかと推測いたします。
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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