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代表取締役・支配人と就任承諾書

2026年06月07日 15:32

 取締役会設置会社の場合、代表取締役の選定も支配人の選任も取締役会で行われます。

 ところで、登記実務上、代表取締役の就任の登記をするには、就任承諾書の添付が必要です。それに対して、支配人選任の登記をするには、就任承諾書の添付は必要ありません。

 

 この点について調べてみると、次のようなことがわかりました。

(代表取締役の就任の登記)

 もともと、就任承諾書の添付は不要でした。しかし、昭和39年4月1日に施行された商業登記法81条に、代表取締役の就任登記には就任承諾書の添付が必要な旨が規定され、それに伴い、昭和39年1月17日民事甲111号通達で、商業登記法施行前に、代表取締役の就任の登記に就任承諾書の添付が必要とするという変更がなされました。

 前記通達の解説(注1)では、就任承諾書の添付を求めることの理由について、「代表取締役についても、取締役になる場合と同様に、被選任者がその地位につくかどうかを選択する自由があるものと解される」としています。

 

(支配人選任の登記)

 もともと、就任承諾書の添付が必要と解釈されていました(注2)。その後、就任承諾書の添付は不要と、解釈が変更になりました(注3)。

 こちらの変更のついては、特に理由についての記述がないため、なぜ、就任承諾書の添付を不要としたのかはわかりません。

 一般的には、支配人については、委任関係ではなく、雇用関係だからと説明されていると思います。しかし、「辞任」による代理権消滅の登記ができる(注4)ことを考えると、支配人についても、その地位につくかどうかを選択する自由があるという解釈もできるのではないかという気もします。

 ところで、支配人の権限は代表権ではなく、代理権です(会社法11条)。代理に関して、民法ではどのように解釈されているのでしょうか。この点については、実は、代理契約という無名契約があるという見解(つまり、承諾が必要)や、代理権の授権という単独行為だという説等があるようです(注5)。

 そして、実務ではどのように運用されているかというと、単独行為だと考えられているようです(注6)。

 想像にすぎないのですが、もしかしたら、そうした考え方も影響しているのかもしれませんね。

注1)登記研究195号66頁(昭和39年)

注2)登記研究120号43頁(昭和32年)の質疑応答2417「支配人の選任登記について」

注3)登記研究282号75頁(昭和46年)の質疑応答4912「支配人選任登記申請書の添付書面について」

注4)登記研究編集室編『商業登記書式精義全訂第6版』(テイハン)2045頁以下

注5)我妻榮ほか『我妻・有泉 コンメンタール民法 総則・物権・債権 第8版』(有斐閣)222頁

注6)「代理権は、代理行為を有効にするための法律上の資格ないし地位であり、代理人には何ら不利益を生じさせるものではない」(大島眞一『完全講義 民事裁判実務 基礎編』(民事法研究会)99頁)ことが理由だとされています。ちなみに、同書によると、訴訟実務上、代理権授与の事実の適示として、「本人と代理人は、〇年〇月〇日、本人が代理人に甲土地の売買契約に関する代理権を授与することに合意した」とはせず、「本人は、〇年〇月〇日、代理人に対し、甲土地の売買契約に関する代理権を授与した」としているようです。 

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