
4月26日の本欄で、企業価値担保権と他の担保権の関係についての雑感を記載しました。今日は、その続きのようなものです。
司法書士業務というよりも、金融機関(債権者)の与信業務の範囲なのかもしれません。
まず、事業性融資の推進等に関する法律の次の条文を確認します。
(他の権利との関係)
第18条 (1~4項省略)
5 第1項の規定にかかわらず、債務者が他の担保権の目的である財産を取得した場合における当該他の担保権は、企業価値担保権に先立って行使することができる。
企業価値担保権と他の登記の優劣は、基本的に登記の先後によりますが、この条文により、たとえば、企業価値担保権を設定している債務者が事業拡大のためあらたに不動産を取得しようとし、金融機関がその資金を融資したような場合、仮に、取得する不動産に担保権が設定されており、それが企業価値担保権より後に設定された場合でも、不動産担保権の方が優先することになるので、注意が必要です。
そのような規定にしないと、不動産担保権の担保権者が想定していない優先担保が出現することになり、適切ではないということだと思います。
もっとも、債務者が不動産を取得する場合、売主が設定していた担保権は抹消したうえで購入するでしょうから、実際の前記の条文が適用されるケースは少ないのだろうと想像しています。
ただ、ちょっと飛躍した想定になりますが、債務者が工場等を居抜きで購入するような場合等には、不動産担保以外にも注意が必要なのだろうと想像しています。前回、記述した動産譲渡登記もそうですし、もしかしたら、工場財団等が組成され、抵当権が設定されているかもしれません。
よって、そうした点もチェックする必要があるのかもしれないと思っています。
そのような担保権の確認は、司法書士の得意とするところだと思いますので、企業価値担保権の設定の場面はもちろん、設定後の管理の場面においても、金融機関と司法書士が密接に連携をとって業務を行うことはメリットが大きいのではないかと想像しています。
もっとも、零細事務所である私の事務所には、まだ、企業価値担保権のご相談は来ておりませんし、希望も含めた、個人的な感想にすぎませんが・・・。
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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