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企業価値担保権の設定の登記

2026年06月27日 14:51

 5月25日に制度が施行された企業価値担保権ですが、ご承知のとおり、不動産登記法を準用しており、設定の登記をすると企業価値担保権者に対して、登記識別情報が通知されます(事業性融資の推進等に関する法律(以下、「法」といいます。)223条で不動産登記法21条を準用)。よって、登記の際、登記義務者は、登記識別情報を提供しなければなりません(法223条で不動産登記法22条を準用)。

 なお、現時点では、法附則26条で準用する不動産登記法附則6条に基づく指定庁がないため、登記識別情報は通知されず、登記済証が交付され、登記義務者は登記済証を提出することになります。

 ところで、企業価値担保権の設定の登記をする場合、登記義務者は、債務者である会社ですから、登記済証は交付されていません。そのため登記済証を提出できませんが、登記済証を提出するかわりに、どのような添付書面や手続が必要でしょうか。

 私たち司法書士が代理人として申請する場合を前提とします。この場合は、事業性融資の推進等に関する法律施行令(以下、「令」といいます。)15条で不動産登記令16条1項を準用していますから、申請人又はその代表者若しくは代理人は、(略)申請情報を記載した書面に記名押印しなければならないとされていますから、申請書には、私たち司法書士が記名押印することになります。

 次に、事業性融資の推進等に関する法律施行令16条に規定があります。以下はその条文を抜粋・一部省略したものです。

(登記識別情報の提供に代わる措置)

第16条 法第223条において読み替えて準用する不動産登記法第22条の申請人は、同条ただし書に規定する登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合には、同条ただし書に規定する登記識別情報の提供に代わる措置として、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。

(略)

② 申請情報を記載した書面(略)を登記所に提出する方法により登記を申請する場合(第5号に掲げる場合を除く。) 申請情報を記載した書面に当該書面に記名押印した登記義務者の代表者(略)の印鑑に関する証明書(登記官が作成するものに限る。(略)及び第5号ロにおいて同じ。)を添付する措置(略)

   (略)

⑤ 委任による代理人によって、申請情報を記載した書面(略)を登記所に提出する方法により登記を申請する場合 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める措置
 イ  (略)

ロ 当該申請情報を記載した書面に当該委任による代理人の権限を証する情報を記載した書面を併せて提出する場合 第2号に定める措置及び当該委任による代理人の権限を証する情報を記載した書面に当該書面に記名押印した登記義務者の代表者(略)の印鑑に関する証明書を添付する措置(略)

2 前項第2号、(略)第5号ロに規定する印鑑に関する証明書は、作成後3月以内のものでなければならない。

 第5号ロをみると、委任状に債務者である会社の代表者の届出印を押印するのは当然ですが、「第2号に定める措置 及び」委任状への届出印の押印となっています。そのため、債務者である会社は、委任状への押印だけでなく、申請書への届出印の押印が必要ということになります。

 委任状に届出印を押印いただくだけでなく、申請書にも押印をいただく必要があるということは、なんとなく、うっかりしてしまいそうです。受任した際には気を付けなければならない点だと思いました。 

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立花宏 司法書士・行政書士事務所

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