今回は、学校法人の代表者の話題です。
改正私立学校法では、37条1項で、「学校法人には理事長1人を置くものとし、寄附行為をもって定めるところにより、理事のうちから、理事会が選定する」と規定し、同条6項で、「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する」と規定して、理事長が学校法人の代表権を有することを明らかにするとともに、理事長は理事会が選定することを明らかにしています。
学校法人の登記は組合等登記令によりますので、その2条4号で、「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」を登記するものとされており、私たち司法書士が学校法人の登記のご依頼があった場合に意識すべきは、まず、この理事長ということになります。
ところで、前記の条文にあるとおり、学校法人には理事長を1人置くものとされていますから、代表権を有する者として登記するのは理事長1人のみと考えればよいでしょうか。
改正私立学校法37条2項には、次のような規定があります。
「学校法人は、寄附行為をもって定めるところにより、代表業務執行理事又は業務執行理事を置くことができる」
参考までに、同条3項で、この代表業務執行理事(及び業務執行理事)は、理事会が選定するものとされています。
そして、同条7項で、「代表業務執行理事は、寄附行為をもって定めるところにより学校法人を代表し、理事会の定めるところにより理事長を補佐して学校法人の業務を掌理する」とされ、代表業務執行理事も学校法人を代表することが規定されています。
そのため、学校法人において代表業務執行理事が選定された場合も、代表権を有する者として、その氏名、住所及び資格と登記する必要があります。
また、この代表業務執行理事は法人の業務を「掌理」するとあり(理事長は「総理」)、代表権の範囲が制限されている場合が少なくないかもしれません。その場合は、代表権の範囲も登記することになります(組合等登記令別表)。改正前も理事長以外に、制限された代表権を有する理事の登記記録例もありましたが(平成18年4月3日民商802号通知)、その記録例の「理事」の資格のところを、「代表業務執行理事」とするのだろうと思います。
今回の改正法に関する登記記録例等が発出されているのかどうかを把握できておらず、調査不足で申し訳ありませんが、ご参考まで。
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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