改正私立学校法が今年の4月に施行されることから、少し、学校法人の機関関係のところを勉強し直しています。ここしばらくは、学校法人関係の話題を取り上げることが増えると思います。ご了承ください。
今回は、学校法人の理事の任期についてです。改正前の私立学校法では、理事の任期について具体的な規定は設けられていませんでした。そのため、事実上終身理事の地位という場合もありました。
改正私立学校法では、理事の任期規定が設けられました。次の規定です。
(理事の任期)
第32条 理事の任期は、選任後寄附行為をもつて定める期間以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する第69条第1項の定時評議員会の終結の時までとする。この場合において、寄附行為をもつて定める期間は、4年以内とする。
(2項以下、略)
要約すると、「選任後(1~4)年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで」ということになります。
ところで、この条文では、会社法等と同様に、「選任後」という用語が使われていますので、形式的に考えれば、任期計算の起算点は、就任時ではなく、選任時だということになるようにも思えます。就任承諾の時点が選任時からずれることにより、任期の終点がずれてしまうことがあり得ることから、そう解釈するのが妥当なようにも思えます。
ところが、文部科学省のWEBサイトに掲載されている「私立学校法の改正に関する説明資料(令和6年12月20日更新)」の107頁のA7では、「第32条第1項等の任期の終期を定める規定中の「選任」とは、「実際に就任する日」を指します。」と解説していました。
つまり、会社法等での解釈と異なり、「選任後」は「就任後」の意味であり、任期計算の起算点は就任時だということのようです。
4月の改正法施行後、この点が問題になるケースがあるかどうかわかりませんが、法務局の審査でも同様に解釈されるのかどうかが気になるところです。
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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