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学校法人の理事の選任

2025年02月24日 15:48

 今回も改正私立学校法の話題です。内容は、学校法人の理事の選任方法です。

 今回の改正により、学校法人の理事は「理事選任機関」が選任することになりました(改正私立学校法30条1項)。この「理事選任機関」は寄附行為をもって定めることとされています(同法29条)。つまり、改正私立学校法では、どういう機関で選任するかまでは規定されておらず、内部自治に委ねられたということです。

 たとえば、寄附行為では、理事会や評議員会、あるいは、独立した選任機関を設ける等、様々な方法を規定することが可能です。特定の機関のみで選任する方法もあるでしょうし、複数の機関で各〇名ずつ選任するということも可能だと思います。

 では、改正前はどうだったのでしょうか。改正前私立学校法38条では、次の各号に定める者が理事となると規定されていました。

①学校法人が設置する私立学校の校長(校長全員が原則ですが、寄附行為の定めにより、校長のうち、1人又は数人を理事とすることができました)

②評議員のうち、寄附行為の定めるところにより選任された者

③①、②のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者

 このうち、①は1号理事とも呼ばれ、原則的に、私立学校の校長に任命されると、他に選任手続をとることなく、理事となっていました(ただし、就任承諾は必要だと解釈されていました) (注1)。

 改正私立学校法では、「理事選任機関」での選任手続が必須となりました。そのため、設置する私立学校の校長に任命された者を理事とする場合、その任命手続のほかに、「理事選任機関」での選任手続が必要になりました。

 改正私立学校法でも、校長を理事とすることはもちろん可能ですが、理事会で校長に任命するだけでは足りず、当該者を「理事選任機関」で理事に選任することが必要となりました(注2)。

 ちなみに、改正私立学校法では、校長の選任は理事会決議で行うこととされ、理事には校長を含めなければならないこととされています(改正私立学校法36条3項3号、31条4項1号)。

 

 いろいろな考え方はあると思いますが、校長資格の理事の「理事選任機関」については、校長任命機関である理事会としておくと、理事の選任手続はスムーズだろうと思いました。


注1)いわゆる「充て職」。そのため、校長を退任すると、前提資格を失うため、理事を退任しました。

注2)改正前と異なり、校長を退任しても、当然には理事を退任することにはなりません。校長を退任した場合に理事を退任することにするには、寄附行為にそうした定めを設ける必要があります。

参考文献:小國隆輔『実務・私立学校法』(日本加除出版) 

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