
いつも悩ましく感じているものに、持分会社の「持分」があります。「持分」とは何でしょうか。コンメンタールによれば、2つの意義があり、「社員たる地位それ自体、つまり社員がその資格において会社に対して有する権利義務の基礎である、会社との関係のこと」(以下、「第1の意義」といいます。)、そして、「社員が会社財産に対して有する分け前を示す計算上の数額のこと」だとしています(注)。
なるほど、その通りなのかもしれません。ところで、社員に相続が発生した場合に、定款に持分の承継を認める規定があれば、相続人が社員となります。会社法608条です。
この条文では、第1項で、相続人が持分を承継する旨を定款に定めることができる旨を規定し、第2項では、会社法604条2項の規定にかかわらず、持分を承継した時に、当該持分を有する社員となるとしています。
604条2項は、社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずるという規定です。608条2項は、相続人に関する定款規定は、第3項で、変更したものとみなされますし、定款の変更しなくとも、また、他の社員の同意がなくとも、承継の時に社員となる旨の規定だと説明されることが多いと思います。
しかし、第1の意義からいえば、持分は社員たる地位そのものですから、これを608条2項の持分のところに代入すると、「社員たる地位を承継した時に、当該社員たる地位を有する社員となる」となり、個人的には、なんとなく、すっきりしません。
感覚的なものにすぎませんが、第1の意義は、個人的には、「社員たる地位」というよりは、「出資者としての地位」と表現した方が理解しやすいのではないかと考えています。
そして、定款は内部的な組合契約だと考えると、社員たる地位というのは、「内部的な組合契約の契約者たる地位」であり、そう考えると、第1項と第2項の関係がすっきりすると思います。
相続人が承継するのは、「出資者としての地位」であって、「内部的な組合契約の契約者たる地位」ではないということです。
持分を相続承継した場合でも、被相続人が定款で業務執行社員や代表社員に定められていた地位は承継しません。相続人は、「出資者として地位」(持分)を承継し、それによって、(あらたに)「内部的な組合契約者たる地位」(社員)になると考えると、そうした地位を承継しないことも説明しやすいのではないかと思います。
もしかしたら、うまく表現できていないかもしれません。まだ、思いつきといった程度の段階ですし、どこかで論考として発表できるような段階まで検証できていません。しかし、もし、確信が持てる状態にまでなったら、どこかで発表したいと思っております。
注)神田秀樹編『会社法コンメンタール14 持分会社【1】(商事法務、2014)』111頁
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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