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法定退社事由

2025年11月17日 14:52

 合同会社の法定退社事由のひとつに、合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。以下「合併」といいます。)(会社法607条1項4号)があります。

 合同会社をはじめとする持分会社については、旧商法時代は民法の規定が準用されていましたが、民法上の組合でも、法人である組合員の合併は脱退自由になっているのでしょうか。

 気になって、民法の条文(民法679条)をみてみると、合併は脱退事由には含まれていません。

 そこで、参考として、旧商法時代の文献を調べてみました。

 旧商法時代は、法人は無限責任社員になることができませんでしたので(旧商法55条)、法人である有限責任社員が合併した場合はどうだったのか、という点です。

 この点について、「有限責任社員が法人である場合の退社原因については特別の規定がないから、法人の解散は、破産(147・85④)を除くほか、退社原因とはならないものと解される(略)。法人が合併によって解散した場合には(94③)、存続会社または新設会社が有限責任社員となると解される(略)(注)。」という記述がありました。

 もっとも、旧商法時代の合資会社の有限責任社員については、社員が死亡した場合は相続人が社員の地位を承継するものとされていました(旧商法161条)。これは、有限責任社員は業務執行権を有しなかったため、社員の地位が相続により承継されたとしても、他の社員への影響が少ないことが考慮されたのだと思います。

 民法上の組合の組合員は、各自が業務執行権を有しますから、旧商法時代の合資会社の有限責任社員と同じように考えられるのかどうかは悩ましく感じます。

 しかし、条文上、合併が脱退事由とされていないことを考えると、規定上は、組合員である法人が合併した場合は脱退事由ではなく、その地位は存続(新設)会社が承継するということになるのかもしれません。

 このあたりを解説している文献が手元にないため、機会をみて、さらに調べてみたいと思っています。

 民法上の組合の運営に関与することがないため、あまり考えたことがなかったのですが、やはり、条文は丁寧に確認しておかないといけないと思いました。

注)上柳克郎ほか『新版注釈会社法(1)』(有斐閣)654頁 

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