今回もテーマは「目的」です。「目的」の最終回となります。
4.「目的」の営利性
個人的には、この目的の営利性がとても難しく感じます。
合同会社は営利社団法人です。そのため、例えば「政治献金」のように、利益を取得する可能性の全くない事業は、会社の目的として掲げることはできないとされています(注)。
ところで、会社の事業目的は、その範囲で会社に権利能力を付与することだと考えると、会社には目的に掲げることができないとされている「政治献金」のような非営利の活動はできないということになりそうです。しかし、ご承知のとおり、会社にも政治活動の自由があり、法律に反しない限り「政治献金」をすることも認められています。このあたりがとても悩ましく感じています。
これについては、昭和40年7月22日民四242号に記載があります。
会社の事業目的が、前記のとおりその範囲で会社に権利能力を付与することだと考えると、会社の行った個々の具体的な行為が事業目的の範囲に属する性質の行為であれば、その効果は会社に帰属することになります。
これにつき、非営利事業は、一般の営利事業と異なり、それに属する行為がすべて会社の行為として有効になされる性質ものではありません。会社の営利目的を達成するために必要又は有益であり相当性の範囲を超えない限り、個別的に会社の権利能力内のものとされる場合もあるに過ぎません。言い換えれば、非営利事業は、個々の具体的な無償行為に分解してみなければ、会社の行為の有効性を判断することが不可能な性質のものであり、会社の事業とするにふさわしくなく、「行うべき事業」である会社の目的としての適格性を欠くと解釈されいているようです。
そのため、もし、「政治献金」を目的とした場合、それは、登記すべき事項につき無効の原因がある場合(商業登記法24条9号)ではないということになります。
目的が、会社が無制限に行い得る事業だとすると、個々の具体的な行為に分解しなければその行為の有効性を判断することができないような行為は、性質上会社の目的ではなく、単に会社の「目的の範囲」を明文により確認した(といっても、確認した事項を無制限に行えるわけではない)にとどまります。そのため、「政治献金」のような非営利の事業を登記すべき事項として申請がなされた場合は、商業登記法24条2号「申請が登記すべき事項以外の登記を目的とするとき」として却下されるということになるのだそうです。
注)昭和40年7月22日民四242号
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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