
思うところがあり、最近、要件事実の基本の再勉強をしています。もっとも、自分の会社法・商業登記の勉強の土台部分をしっかりと再構築するというのが目的で、裁判実務を行う予定があるわけではありません。少しずつでも、要件事実の考え方を、会社法・商業登記実務を考えるうえで活かしていきたいと考えています。
たとえば、株式会社の資本金の額の減少は、株主総会の決議によって、一定の事項と効力発生日を定める必要があります(会社法448条1項)。そして、効力発生日までに必要な手続(債権者保護手続等)を終了させると、効力発生日に効力が発生します。
仮に、資本金の額の減少が効力を生じたというためには、株主総会決議、所定の手続が終了したことが要件になると思います。さらに、株主総会決議で定められた効力発生日に効力が生じますから、「効力発生日の"到来"」を主張することになると思います。なお、効力発生日が到来したのかどうかは明らかですから、立証の必要はないだろうと思います。
ちなみに、効力発生日が到来すると効力が生ずるのですから、効力発生日の午前零時に効力が発生したと考えるのが自然なのだろうと思います。
ところで、合同会社の資本金の額の減少の場合はどうでしょうか。この場合は、資本金の額を減少するという業務の決定と、所定の手続を行う必要があります。株式会社の場合と異なり、会社法上、効力発生日を定めるとはされておらず、所定の手続が終了した日にその効力を生ずるとされています(会社法627条6項)。
そのため、資本金の額の減少が効力を生じたというためには、業務の決定がなされ、所定の手続(債権者保護手続)が終了したことを主張立証することになると思います。この場合に、債権者保護手続は1か月以上の期間を定める必要がありますから、それをどのように定めたのかも主張・立証することになるのだろうと思います。たとえば、5月31日に公告・催告を行った(催告は同日に到達したものとする)とすると、その内容として、①異議のある債権者は、本公告(催告の到達)から1か月以内にお申し出ください、あるいは、②6月30日までにお申し出ください、等と定めたことを主張立証することになるだろうと思います。
この場合に、効力の発生を主張する際は、①の場合は1か月の"経過"、②の場合は、6月30日が"経過"したことを主張する必要があると思います。経過しないと効力は生じませんから、7月1日の午前零時に効力が発生したということになるのだろうと思います。
どちらも、異議があった場合は、弁済等の対応をする必要がありますが、株式会社の場合は、効力発生日の前日までに行わないと資本金の額の減少の効力は生じません。一方、合同会社の場合に異議が出た場合に、それに対して弁済した場合は、弁済することにより必要な手続が終了したとして(会社法627条6項)、その時点で効力が生ずるのだと思います。
よって、株式会社の場合に、たとえば、債権者保護手続期間内に異議が出され、効力発生日の前日までに必要な対応をしなかったことが主張・立証されてしまうと(抗弁)、無効になるのだろうと思います。
それに対し、合同会社の場合は、その抗弁に対し、たとえば、異議がでたため、7月2日に弁済し、会社がそれを主張・立証できれば(再抗弁)、7月2日に資本金の額の減少は効力を生じたということになるのだろうと思います。
ちなみに、どちらも、資本金の額の減少をしても債権者を害するおそれがないときは、弁済等の対応は不要ですが、この場合は、会社側が債権者を害するおそれがないことの証明責任を負担することになるようです(注)。
この場合、登記実務でも、添付書面として、たとえば、貸借対照表等をともに、十分な弁済能力がある旨の証明文を記載した異議を述べた債権者を害するおそれがないことを証する書面等を添付することになります。
まだ、再勉強を始めたばかりなので、勘違いしているところもあるかもしれませんが、少しずつ、前に進んでいこうと思っています。
注)江頭憲治郎『株式会社法第9版』(有斐閣、2024)739頁
立花宏 司法書士・行政書士事務所
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