会社・法人登記専門の司法書士事務所です。

ブログ「耕不尽(たがやせどもつきず)」

2025年09月14日 13:36

持分の譲渡等

 合同会社においては、社員は、他の社員全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を譲渡することができません。ただし、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を譲渡することができます。 持分の譲渡をすると、定款の社員等の記載を変更する必要があり、原則として、総社員の同意による定款の変更手続が必要となります(会社法637条)。ただし、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によって行うことができます。 以上の規定は、定款で別段の定めをすることが可能です(会社法5
2025年09月04日 11:14

社員の氏名、責任、出資の目的等

 合同会社の定款には、「社員の氏名又は名称及び住所、社員の全部を有限責任社員とする旨、無限責任社員又は有限責任社員のいずれかであるかの別、出資の目的及びその価額又は評価の標準」を記載しなければなりません(会社法576条1項4号~6号、4項) このうち、「社員の全部を有限責任社員とする旨」については、合同会社の社員は全員、有限責任ですから、それを明らかにする趣旨だと言えます。「社員の氏名又は名称及び住所」については、内部的には組合である合同会社において、出資をして共同の事業を営もうとする組合契約の当事者が誰であるのかを明らかにする趣旨だと考えられます。 比較として、株式会社においては、株主の氏名
2025年08月29日 13:22

「公告方法」再考

 先日、法務省の登記統計をみたところ、今年6月までの月別の集計が反映されていました。あいかわらず、合同会社の設立登記の申請数を個人的に集計してみました。1月から6月までの累計は、22,921件で、昨年と比べると、約1千6百件増加しています。この分でいくと、今年の年間累計は4万5千件くらいになると予想されます。 もちろん、この増加傾向が続くとは限りませんので、あくまでも個人的な想像の数字にすぎませんが、あいかわらず、合同会社の設立登記申請件数は増加傾向にあるのではないかと思います。 参考までに、株式会社の1月から6月まで設立登記申請件数の累計は51,141件で、昨年よりも千件弱の増加です。こちら
2025年08月22日 12:47

公告方法

 会社法において、公告方法とは、会社が公告(会社法等の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法だとされています(会社法2条33号)。 会社は、公告方法として、①官報に掲載する方法、②時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、③電子公告のいずれかを定款で定めることができます(会社法939条1項)。定款に定めていない場合には、会社の公告方法は①となります。 いずれかと規定されていますが、①及び②というように、複数の方法を定款に規定することもできます。ただし、①又は②というように選択的な方法を規定することはできないとされています(大正5年
2025年08月13日 08:32

上場廃止と代表取締役等住所非表示措置

 株式会社の一定の登記の申請をする者は、代表取締役等住所非表示措置の申出をすることができます(商業登記規則31条の3第1項)。この申出をすると、「当該登記により登記簿に住所を記載すべき代表取締役等の住所」について、非表示措置が講じられます。 ところで、この会社が上場会社であった場合に、上場会社でなくなったと認められるときは、登記官は、「現に効力を有する登記事項」の非表示措置を終了させるものとされています(商業登記規則31条の3第4項第2号)。 ただし、この場合に、非表示措置の申出ができる登記申請(たとえば、代表取締役の重任登記)が併せてなされ、非表示措置の申出がなされたときは、非表示措置を終了
2025年08月06日 09:49

本店の所在地

 会社の事務所は、事業活動等の実態に即して複数設ける場合もありますが、事務所のうち、事業活動の中心となる事務所を本店といい、会社の住所は、その本店の所在地にあるものとされています(会社法4条)。また、民事訴訟における普通裁判籍は会社の本店により定めるとされています(民事訴訟法4条4項)。 会社の本店の所在地は定款の絶対的記載事項です(会社法576条1項3号)。定款に記載すべき本店の所在地は、独立の最小行政区画をもって表示すれば足りるとされています(大正13年12月17日第1194号回答)。独立の最小行政区画とは、市町村(東京都の特別区を含み、政令指定都市(地方自治法252条の19第1項)にあっ
2025年07月29日 13:02

職務執行者の住所非表示措置

 今回は、定款の逐条解説をお休みして、昨年10月から制度が開始されている代表取締役等住所非表示措置のお話です。 もう経験された司法書士の先生方も多いだろうと想像していたのですが、法務省のウェブサイトでは、10月~3月までの半年の利用件数が6539件となっていました。役員改選等の繁忙期である5、6月には大分増えただろうとは思いますが、その件数からすると、まだ、経験されていらっしゃらない先生方も少なくないかもしれません。 実は今日は、その延長のお話です。 今年4月から、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会の開催が進んでいるようです。実際に改正があるとしても、大分先になるのだろうとは思いま
2025年07月11日 09:10

目的(その5)

 今回もテーマは「目的」です。「目的」の最終回となります。4.「目的」の営利性 個人的には、この目的の営利性がとても難しく感じます。合同会社は営利社団法人です。そのため、例えば「政治献金」のように、利益を取得する可能性の全くない事業は、会社の目的として掲げることはできないとされています(注)。 ところで、会社の事業目的は、その範囲で会社に権利能力を付与することだと考えると、会社には目的に掲げることができないとされている「政治献金」のような非営利の活動はできないということになりそうです。しかし、ご承知のとおり、会社にも政治活動の自由があり、法律に反しない限り「政治献金」をすることも認められていま
2025年07月05日 14:15

目的(その4)

 今回も引き続き、テーマは「目的」です。3.「目的」の適法性 会社は、強行法規又は公序良俗に違反する事業を目的とすることはできません。そもそも、強行法規又は公序良俗に反する行為は無効ですから、そうした行為を行う事業を目的として掲げることができないのは当然のことといえます。 適法性を欠く目的の例や論点の主なものとして、次のようなものがあげられます。①一定の資格を有する者でなければ営むことができない業務 弁護士や司法書士等一定の資格者に限って認められている業務を会社の目的とすることはできません。これに対して、たとえば、不動産鑑定士という資格がありますが、不動産鑑定を会社の事業目的とすることは可能だ
2025年06月28日 14:31

目的(その3)

 前回、前々回に引き続き、テーマは「目的」です。2.「目的」の明確性 目的の明確性とは、定款に記載され、登記された目的の意義が明瞭であって、登記事項証明書等を見た一般人が、その目的の語句の意義を理解することができることを言います。つまり、明確性があるかどうかは、社会通念に従って判断されることになります。 目的の中に特殊な語句が含まれる場合、たとえば、それが専門用語で、専門家にとってはその意味が明瞭ではあっても、一般人には理解できないもの、あるいは外来語で通常の国語辞典や市販されている用語辞典に掲載されていないようなもの、あるいは、インターネット等で検索しても容易にはその意味が判明しないものは明

お問い合わせ先

立花宏 司法書士・行政書士事務所

〒980-0022
仙台市青葉区五橋一丁目4番24号ライオンズビル五橋702号

022-302-6906

サイト内検索

© 2016 All rights reserved.| は無断で加工・転送する事を禁じます。

Powered by Webnode