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ブログ「耕不尽(たがやせどもつきず)」

2024年10月26日 14:45

持分会社の持分の一般承継の定め(合併)(その3(おまけ2))

 前回、おまけを書いておいて、さらにおまけを書くのかとあきれられてしまうかもしれませんが、一応、今回でまとめとなりますので、ご容赦ください。 今回は、定款に一般承継の規定を設けるとしたら、どのようなものを設けるべきなのか、ということを考えてみたいと思います。 まず、個人的には、一般的な定款例で設けられているような「社員が死亡した場合には、その相続人が当該社員の持分を承継して社員となる」というような規定は、暫定的に設けるのであればよいけれど、もう少し具体的な規定を設けるべきだと思い至りました。 合同会社をはじめとした持分会社は、株式会社のように、株主を、その所有する株式数に応じて平等に扱わなけれ
2024年10月19日 14:54

持分会社の持分の一般承継の定め(合併)(その3(おまけ))

 前回、前々回と、法人社員が合併により解散する場合の持分承継規定についてを書いてきました。 今回は、それを前提としたうえで、相続承継のことを検討します。 前回、合併による解散の場合に、原則として持分は承継されず、存続法人(新設法人)社員とならないのは、他の社員の利害関係に影響があるからで、その趣旨から、社員が同意しして、事前に定款で定めれば、持分を承継して社員となることも許容されるという内容をかきました。 これは、相続による承継の場合も同じです。合同会社とする持分会社は、社員相互の人的信頼関係を基礎とする民法の組合型の組織です。 そのため、誰が社員となるのかについて、社員は大きな利害関係を有す
2024年10月06日 20:21

持分会社の持分の一般承継の定め(合併)

 持分会社の社員が死亡した場合には、その社員は退社し、当然には、相続人は持分を承継して社員になることはありません。持分の払戻請求権を相続することになります。しかし、定款に、それを許容する規定があれば、相続人は持分を承継して社員となります。 会社法の規定は以下のとおりです。(相続及び合併の場合の特則)第608条 持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。     (2項以下省略) たとえば、社員が自然人1名のみの場合は、定款にこの規定を設けておいた方がよいと思います。というのは、万
2024年09月28日 11:44

組織変更と種類変更

 会社法の規定では、株式会社から合同会社等の持分会社に、会社の組織を変更することができます。その逆も可能です。これを「組織変更」といいます(会社法2条26号)。 同じような行為で、「種類変更」というものがあります。これらは、定款を変更することにより、たとえば、合名会社が合資会社や合同会社となったりする等、持分会社の中で会社の種類を変更することです(会社法638条)。会社法施行前の商法時代は、合名会社と合資会社の間で、種類を変更することができましたが、これは「組織変更」だと整理されていたと思います。「組織変更」も「種類変更」も、会社の種類を変更することだと思いますが、何が違うのでしょうか。この点
2024年09月16日 15:29

代表社員に事故あるときは他の業務施行社員が代表権を有する定め

 社員各自が業務執行権を有する合同会社で、「社員が2名以上ある場合は、社員の互選により代表社員を定める。社員が1名の場合は当該社員を代表社員とする」(①)といった定款の定めを設けることは許容されると思います。 この定款の定めがある、代表社員A、業務執行社員Bの社員2名の合同会社の場合に、Aが退社した場合は、この定款の定めにより、Bは代表権を持つことになると思います。前記の定款規定により、互選により代表社員に定められたなかった社員Bの代表権は制限されていましたが、社員がBのみとなった場合は、前記の定款規定の「社員が1名の場合は~」の定めにより、Bの代表権は制限されない状態となるということです。 
2024年09月09日 13:41

業務執行社員の報酬

 合同会社では、原則として、社員が各自業務執行権を有しますが、定款で業務執行社員を定めることもできます。 大雑把にいうと、株式会社でいえば、取締役のようなイメージになりますが、この業務執行社員に、職務の執行に対する対価、すなわち、報酬を支払う場合にはどのようにすればよいでしょうか。 株式会社の取締役であれば、会社法361条により、株主総会の決議によって定める旨の規定がありますが、合同会社の業務執行社員については、会社法にはそのような規定はありません。 これについては、会社法593条4項で、民法648条(受任者の報酬)を準用しており、原則としては無報酬で、特約があれば、業務執行社員は報酬を請求す
2024年09月02日 14:39

合同会社の設立状況

 今年も9月となり、1年の3分の2が過ぎたことになります。そんなことを考えたら、だいぶ気が早いのですが、今年の合同会社の設立状況はどうなのだろうということが気になりました。 そこで、法務省の登記統計を見たところ、6月までの統計の数字が記載されていました。ちょうど1年の前半分のデータが反映されていることになります。 その数字をみて、個人的に集計してみたところ、6月までの設立登記申請数は、次のような状況でした。1月~6月までの設立数小計 合同会社 21,298件(昨年の1月~6月は20,243件) 株式会社 50,290件(昨年の1月~6月は49,057件)  設立登記申請数は、合同会社、株式会社
2024年08月24日 15:24

合同会社の資本金の額の減少の無効

 合同会社において、資本金の額の減少をできるのは、損失のてん補、出資の払戻し、持分の払戻しを行う際に、資本金の額の減少をする必要がある場合に限られています。 そして、資本金の額の減少を行うには、債権者保護手続が必要です。 ところで、上記の場合以外や、債権者保護手続に瑕疵があったのに資本金の額の減少の登記をしてしまった場合はどうなるでしょうか。 これは、違法行為ということで、無効になるのだろうと思います。  ところで、仮に、この資本金の額の減少の登記をした後に、債権者保護手続が完了していなかった(異議を述べた債権者がいたのに、必要な手続をしていなかった等)場合、登記した資本金の額の減少は無効だっ
2024年08月10日 15:01

定款変更と出資義務

 ABCの3名がそれぞれ100を出資して設立した合同会社であることを前提とします。この会社の定款には、定款変更について、社員の過半数の賛成で変更を可能とする別段の定めが設けられているものとします。 この会社において、AB2名の賛成で定款を変更しました。その内容は、Cの出資額を100から200に変更するというものです。しかし、Cは定款変更に反対しており、その内容を承諾していません。 さて、Cは100の追加出資を履行する義務を負うでしょうか。 大判大正7年10月29日は、こうした場合に、Cは変更後の定款の内容に拘束され、出資義務を負うものと判断したようです。理由としては、定款変更の要件は定款に規定

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