会社・法人登記専門の司法書士事務所です。

ブログ「耕不尽(たがやせどもつきず)」

2025年11月05日 10:30

設立登記の申請者

 今日は、現在、パブリック・コメントが行われている商業登記規則の改正の関係です。この改正の大雑把な内容は、一定の要件を満たした場合には、会社や法人の設立登記について、特定の日付で登記簿に記録するというもので、休日に会社や法人を設立することができるようにするためのものです。 たとえば、1月1日は休日ですが、12月の法務局の最後の開庁日に1月1日に登記簿に記録することを求める旨を記載して申請すると、1月1日が設立日になるというものです(注1)。 詳細は、以下をご参照ください。https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMST
2025年10月24日 16:04

事業年度と会計年度

 前回の本欄では、法人によって、「事業年度」という用語を使用しているものもあるし、「会計年度」という用語を使用しているものもあると記述しました。 なお、いろいろな資料をみると、「会計年度」という用語は、国・地方公共団体の計算期間だという解説がなされています。ちなみに、国・地方公共団体の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとされています(財政法11条、地方自治法208条1項)。 では、なぜ、民間の法人制度で、法律上、「会計年度」という用語を使用しているのでしょうか。 これに関して、小國隆輔『実務 私立学校法』(日本加除出版株式会社)376頁に、次のような記述がありました。
2025年10月17日 12:29

事業年度

(事業年度)第〇条 当会社の事業年度は、毎年〇月〇日から翌年〇月〇日までとする。 会社法では、事業年度を定款で定めなければならないとはされていませんが、ほとんどの会社は定款に規定しているものと思われます。 合同会社では、各事業年度に係る計算書類を作成しなければならないとされています(会社法617条2項)。この期間は基本的に1年を超えることができません(会社計算規則71条2項)。各事業年度における事業活動で発生した会社の損益はその計算書類の作成により確定し、各社員に分配されることになります(会社法622条)。事業年度は会社にとっても、社員にとっても重要な事項だといえるため、定款に規定するのだろう
2025年10月10日 10:46

利益相反取引

(利益相反取引の制限)第〇条 業務執行社員は、次に掲げる場合には、当該取引について、当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。①業務執行社員が自己又は第三者のために会社と取引をしようとするとき。②当会社が業務を執行する社員の債務を保証することその他社員でない者との間において当会社と当該社員との利益が相反する取引をしようとするとき。 業務執行社員は、その職務を行うにあたり、善管注意義務を負っています。この義務の一内容として、合同会社の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることが禁止されており、その不作為義務を具体化した規定だとされています(注1)。 当事者である社員の過半数の承
2025年10月04日 14:18

競業の禁止

(競業の禁止)第〇条 業務執行社員は、当該社員以外の社員の全員の承認を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。①自己又は第三者のために当会社の事業の部類に属する取引をすること。②当会社の事業と同種類の事業を目的とする会社の取締役、執行役又は業務執行社員となること。 業務執行社員は、原則として、上記の条文に掲げているような行為をしてはならないとされています(会社法594条1項)。業務執行社員は、合同会社の業務の執行又はその決定に関与するので、会社の重要情報を知り得る立場です。そのため、当該業務執行社員が、合同会社の事業と競業する事業をしたり、競業する事業を行う企業の取締役等に就任したりする
2025年09月26日 09:59

代表社員

(代表社員)第〇条 当会社を代表する社員(以下、「代表社員」という。)は、〇〇〇〇とする。 合同会社においては、業務執行社員は各自が合同会社を代表するのが原則です(会社法599条1項)。しかし、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から代表社員を定めることができるとされています。 後者の規定の例は、「当会社に業務執行社員が2名以上ある場合は、当会社を代表する社員(以下、「代表社員」という。)1名を置き、業務執行社員の中から、社員の互選によって定める。当会社の業務執行社員が1名の場合は、その者を代表社員とする。」等が考えられます。  なお、定款の定めに基づく社員の互
2025年09月19日 13:44

業務執行の決定

(業務の執行)第〇条 当会社の業務を執行する社員(以下、「業務執行社員」という。)は、〇〇〇〇及び△△△△とする。 合同会社においては、社員各自が会社の業務を執行します。しかし、定款で別段の定めが可能で、特定の社員を業務執行社員と定めることも可能です。 上記の定款の規定は、〇〇〇〇及び△△△△を業務執行社員と定めたものですが、この規定を設けることにより、〇〇〇〇及び△△△△以外の社員は業務執行権が制限されます。 つまり、この定款規定は、実質的には、〇〇〇〇及び△△△△に業務執行権を付与するというよりは、〇〇〇〇及び△△△△以外の社員の業務執行権を制限するという意味を有する規定であり、〇〇〇〇及
2025年09月14日 13:36

持分の譲渡等

 合同会社においては、社員は、他の社員全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を譲渡することができません。ただし、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を譲渡することができます。 持分の譲渡をすると、定款の社員等の記載を変更する必要があり、原則として、総社員の同意による定款の変更手続が必要となります(会社法637条)。ただし、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によって行うことができます。 以上の規定は、定款で別段の定めをすることが可能です(会社法5
2025年09月04日 11:14

社員の氏名、責任、出資の目的等

 合同会社の定款には、「社員の氏名又は名称及び住所、社員の全部を有限責任社員とする旨、無限責任社員又は有限責任社員のいずれかであるかの別、出資の目的及びその価額又は評価の標準」を記載しなければなりません(会社法576条1項4号~6号、4項) このうち、「社員の全部を有限責任社員とする旨」については、合同会社の社員は全員、有限責任ですから、それを明らかにする趣旨だと言えます。「社員の氏名又は名称及び住所」については、内部的には組合である合同会社において、出資をして共同の事業を営もうとする組合契約の当事者が誰であるのかを明らかにする趣旨だと考えられます。 比較として、株式会社においては、株主の氏名
2025年08月29日 13:22

「公告方法」再考

 先日、法務省の登記統計をみたところ、今年6月までの月別の集計が反映されていました。あいかわらず、合同会社の設立登記の申請数を個人的に集計してみました。1月から6月までの累計は、22,921件で、昨年と比べると、約1千6百件増加しています。この分でいくと、今年の年間累計は4万5千件くらいになると予想されます。 もちろん、この増加傾向が続くとは限りませんので、あくまでも個人的な想像の数字にすぎませんが、あいかわらず、合同会社の設立登記申請件数は増加傾向にあるのではないかと思います。 参考までに、株式会社の1月から6月まで設立登記申請件数の累計は51,141件で、昨年よりも千件弱の増加です。こちら

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