会社・法人登記専門の司法書士事務所です。

ブログ「耕不尽(たがやせどもつきず)」

2025年05月16日 15:00

原本還付と委任状

 私たち司法書士が商業登記申請を受任した場合、商業登記の申請書には代理権限を証する書面(以下、「委任状」といいます。)を添付する必要があります。根拠条文は商業登記法18条です。 当然ながら、委任状には、どのような内容を委任するのかが記載されている必要があります。たとえば、会社の目的を変更したような場合は、「令和〇年〇月〇日付株主総会決議に基づく目的変更登記申請手続に関する一切の件」といった具合に記載します。 そして、添付書面である株主総会議事録は原本を会社で保管する必要がありますから、還付手続をすることになります。根拠条文は商業登記規則49条1項です。 ところで、委任状には目的変更登記申請手続
2025年05月11日 14:34

兼任禁止規定

 株式会社の監査役の地位にある者が、同社の株主総会において取締役に選任された場合はどのような状態になるのでしょうか。というのは、会社法335条2項により、監査役は、その会社の取締役を兼ねることができない(以下、「兼任禁止規定」という。)と規定されていることから問題となります。 もし、この兼任禁止規定が監査役の欠格事由と定めたものだとすれば、この監査役選任に関する株主総会決議は法令の規定に違反し、無効ということになるでしょう。 これに関連して、商業登記ハンドブック第5版457頁では、「監査役が会社法335条2項の兼任禁止規定に違反し、同項の地位に就任することを承諾したときは、従前の監査役の地位を
2025年04月30日 13:17

法制審議会会社法制部会

 法務省のウェブサイトをみたところ、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会で会社法の見直し関係が検討されているようです。その第1回の会議が4月23日に開催されたようで、資料等が公開されていました。 内容はそちらをご覧いただきたいのですが、個人的に気になったのは、合同会社についての改正も議題となっていたことです。 その内容について、大雑把に記載するのは難しいのですが、検討してみましょう。 まず、合同会社が無対価で組織再編行為をした場合、資本剰余金が増加する場合がありますが、無対価であるため、定款の出資の記載は変更がありません。 たとえば、社員が一人のみの会社で、出資の価額が100、資本剰
2025年04月18日 14:11

代表取締役等住所非表示措置の申出と登記の完了

 前回に続き、代表取締役等住所非表示措置の話題です。 それほど大きな論点ではなく、個人的に気になった点を備忘録として記載しておきます。  代表取締役の就任の登記申請と代表取締役等住所非表示措置の申出をオンラインで行った際のことです。依頼者様から、登記が完了したら、登記事項証明書を速やかに取得してほしいという依頼があった件でした。  ご承知のとおり、オンライン申請は、登記が完了すると、メールで通知が来ますし、オンラインシステムで確認することができます。 申請の数日後、登記が完了したとのメール通知があったので、前述の登記申請の完了であることをオンラインシステムで確認しましたうえで、早速、オンライン
2025年04月10日 10:16

代表取締役等住所非表示措置と実質的支配者リスト

 今日は代表取締役等住所非表示措置に関する話題です。私も何回か、経験しましたが、そこで気になった点を記載してみたいと思います。 この非表示措置の申出をする場合には、実質的支配者に関する添付書面が必要であり、法務局に実質的支配者リストの保管の申出をしている場合は、その旨を申出書に記載すれば、添付を要しないという扱いになっています。 この扱いを受けた場合、登記官は、実質的支配者リストの写しを作成し、申出と併せて行った申請の申請書等と併せて、申請書類つづり込み帳につづり込まれることになります。 そして、それらは、利害関係のある第三者の閲覧の対象となります。 ところで、実質的支配者リストの申出をした場
2025年04月04日 10:01

学校法人の代表業務執行理事の登記

 3月9日の本ブログで、学校法人には、理事長のほか、代表業務執行理事も代表権を有する者として、その氏名、住所及び資格を登記することになると記載いたしました。 先日、令和7年3月19日法務省民商第44号「私立学校法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)」が発出され、この点についての取扱いも記載されていました。 代表業務執行理事ですが、登記する資格は、「理事」となっていました。この先例を見るまでは、個人的には、法律に規定されている「代表業務執行理事」という資格を登記するのだろうかと思っていたので、この点を確認できてよかったと思っております。  なお、代表業務執行理事
2025年03月24日 11:33

商業登記倶楽部本部研修会

 前回に引き続き宣伝となり恐縮ですが、今回は研修会のご案内です。 「月報司法書士」の3月号がお手元に届いた方はお気づきになられたかもしれませんが、4月19日(土)に、日司連ホールにおきまして、商業登記倶楽部本部研修会があり、そこに登壇させていただきます。私のお話するテーマは「持分会社の持分相続―合同会社を中心とした検討―」です。  内容としては、一昨年、日本登記法学会で発表させていただいた内容をベースとし、それを、司法書士実務の目線で実務的に発展させたものとなります。 持分会社の一類型である合同会社の持分相続について、従来の持分会社の登記実務と異なる扱いも認められるかどうかという点の考え方につ
2025年03月18日 14:40

「商業登記実務から見た合同会社の運営と理論 第3版」

 大変恐縮ですが、今回は新著のご紹介です。 中央経済社様から出版させていただいている『商業登記実務から見た合同会社の運営と理論』ですが、このたび、第3版を発刊させていただくことになりました。https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-51361-9 2021年に発刊いたしました第2版のあと、4年近く経過いたしましたが、その間の研究の成果を反映し、バージョンアップいたしました。 初版当初は、合同会社の本がどのくらい、皆さまに受け入れていただけるのだろうかと心配しておりましたが、皆さまのご指導、激励のおかげで、第2版のみならず、第3版を出版することができました。皆
2025年03月09日 14:51

学校法人の代表者

 今回は、学校法人の代表者の話題です。 改正私立学校法では、37条1項で、「学校法人には理事長1人を置くものとし、寄附行為をもって定めるところにより、理事のうちから、理事会が選定する」と規定し、同条6項で、「理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する」と規定して、理事長が学校法人の代表権を有することを明らかにするとともに、理事長は理事会が選定することを明らかにしています。 学校法人の登記は組合等登記令によりますので、その2条4号で、「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」を登記するものとされており、私たち司法書士が学校法人の登記のご依頼があった場合に意識すべきは、まず、この理事長ということ
2025年02月24日 15:48

学校法人の理事の選任

 今回も改正私立学校法の話題です。内容は、学校法人の理事の選任方法です。 今回の改正により、学校法人の理事は「理事選任機関」が選任することになりました(改正私立学校法30条1項)。この「理事選任機関」は寄附行為をもって定めることとされています(同法29条)。つまり、改正私立学校法では、どういう機関で選任するかまでは規定されておらず、内部自治に委ねられたということです。 たとえば、寄附行為では、理事会や評議員会、あるいは、独立した選任機関を設ける等、様々な方法を規定することが可能です。特定の機関のみで選任する方法もあるでしょうし、複数の機関で各〇名ずつ選任するということも可能だと思います。 では

お問い合わせ先

立花宏 司法書士・行政書士事務所

〒980-0022
仙台市青葉区五橋一丁目4番24号ライオンズビル五橋702号

022-302-6906

サイト内検索

© 2016 All rights reserved.| は無断で加工・転送する事を禁じます。

Powered by Webnode